算術平均、相加平均、相乗平均、幾何平均、2乗平均、調和平均の具体例と活用法
データをひとまとめにして「中心」を求める方法として、平均(mean)は非常に重要な統計量です。しかし、状況やデータの性質に応じて「平均」の計算方法は複数存在します。ここでは、代表的な平均の種類について解説します。
※ 算術平均と相加平均は、実質的に同じ意味で使われる用語です。どちらも数値の合計を個数で割る方法です。
算術平均=x1+x2+⋯+xnn\text{算術平均} = \frac{x_1 + x_2 + \cdots + x_n}{n}算術平均=nx1+x2+⋯+xn
例として、数値 [2, 4, 6, 8, 10] の算術平均を求める場合
合計:2+4+6+8+10=302+4+6+8+10 = 302+4+6+8+10=30
個数:5
算術平均:30÷5=630 \div 5 = 630÷5=6
※ 相乗平均と幾何平均は同義で、すべての値を掛け合わせた積の n 乗根(n は個数)で求めます。
幾何平均=x1×x2×⋯×xnn\text{幾何平均} = \sqrt[n]{x_1 \times x_2 \times \cdots \times x_n}幾何平均=nx1×x2×⋯×xn
たとえば、成長率がそれぞれ 1.1、1.2、0.9 のとき、平均成長率を幾何平均で求めると
積:1.1×1.2×0.9=1.1881.1 \times 1.2 \times 0.9 = 1.1881.1×1.2×0.9=1.188
個数:3
幾何平均:1.1883≈1.06\sqrt[3]{1.188} \approx 1.0631.188≈1.06
→ 約 6% の平均成長率となります。
2乗平均=x12+x22+⋯+xn2n\text{2乗平均} = \sqrt{\frac{x_1^2 + x_2^2 + \cdots + x_n^2}{n}}2乗平均=nx12+x22+⋯+xn2
数値 [3, 4, 5] の 2乗平均を求める場合
各値の二乗:9,16,259, 16, 259,16,25
合計:9+16+25=509+16+25 = 509+16+25=50
平均:50÷3≈16.6750 \div 3 \approx 16.6750÷3≈16.67
2乗平均:16.67≈4.08\sqrt{16.67} \approx 4.0816.67≈4.08
調和平均=n1x1+1×2+⋯+1xn\text{調和平均} = \frac{n}{\frac{1}{x_1} + \frac{1}{x_2} + \cdots + \frac{1}{x_n}}調和平均=x11+x21+⋯+xn1n
たとえば、ある区間を走行する際の速度が 60 km/h と 40 km/h の場合(同じ距離を走ったと仮定)
逆数の和:160+140≈0.01667+0.025=0.04167\frac{1}{60} + \frac{1}{40} \approx 0.01667 + 0.025 = 0.04167601+401≈0.01667+0.025=0.04167
個数:2
調和平均:2÷0.04167≈482 \div 0.04167 \approx 482÷0.04167≈48 km/h
→ 平均速度は 48 km/h となります。
平均の種類 | 計算方法の特徴 | 主な活用例 |
---|---|---|
算術平均/相加平均 | 数値の合計を個数で割る。シンプルで直感的。 | 一般的なデータの中心傾向、テストの点数、家計支出など |
幾何平均/相乗平均 | 数値の積の n 乗根を取る。比率や成長率の平均に適する。 | 成長率、複利効果、投資収益率など |
2乗平均 (RMS) | 各値の二乗の平均の平方根。負の値の影響を除去し、全体の大きさを評価。 | 交流電圧・電流の実効値、誤差評価、物理量の大きさの評価 |
調和平均 | 値の逆数の平均の逆数。特に「速度」や「比率」を扱う場合に有効。 | 平均速度、作業効率、金融の指標など |
それぞれの平均は、データの性質や目的に合わせて使い分けることで、より正確な分析や評価が可能になります。
実際のデータ分析や実生活の問題に直面した際は、どの「平均」が最も適しているかを考えながら計算方法を選択してみてください。これにより、より深い洞察が得られるでしょう。Happy Learning!
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