日本で人気の天丼屋「てんや」がついに中国に出店。場所は深圳の1号線、岗厦駅にある卓悦中心です。美味しい天丼が食べられるようになるので、オープンが楽しみですね。
てんやのオープンの告知に書いてあった「国内首家 coming soon」の表現について考察したいと思います。
以前中国の広州にスシロー1号店が出来た時の告知に使われていた言葉は
「日本高人气回转寿司品牌、中国大陆首店登场
日本で大人気の回転寿司ブランド、中国大陸一号店登場」
これらの何が違うかわかりますか?
同じ1号店という表現ですが、スシローでは首店、てんやでは首家となっており、これらはどちらも「1号店」を表す言葉で、大きな差はありません。注目すべき違いは「大陆」という単語の有無です。
てんやは香港に既に3店舗(本記事投稿時点)あり、日本人の認識する中国への出店は1店舗目ですが、香港を中国の一部として考えている人にとって、「中国国内1号店」ではありません。
「大陸」という言葉には香港が含まないが、「中国国内」には香港を含んで認識されます。
そのため、てんやの書き方では、「香港は中国ではありません」というメッセージにとらえられる危険性があります。
日本人にとってあまり大きな意味をなさない、「大陸」という2文字の持つ意味を中国に進出するにあたり、スシローは強く意識したのでしょう。
また、てんやは以前、2008年に上海の人民広場(黄浦区金陵東路亜龍国際広場1F)に進出していたので、そもそも深圳の店舗は大陸1号店でもないようです。
このように細かな表現を気にする中国の方が、実際にどれくらいいるのかはわかりませんが、ここで大切なことは、そういったリスクのある表現を避けることが、文化の異なる海外でビジネスを行う上での最低限のマナーであり、事前に調べるべき内容であると思います。
中国に「1号店」を出すにあたって、そういった知見のある方のアドバイスがない。あるいはチェックなしでこういった文字が出てしまった点においててんやはもう少し注意を払っても良かったのではないでしょうか。そういった心配はあるものの、てんやの中国進出は中国にいる日本人駐在員にとっては喜ばしいものです。無事オープンして深圳の日本人はもちろんのこと、現地中国の方にも愛される素敵なお店になってもらえると良いですね。
近年ドラえもんに出てきた夢のような道具「翻訳こんにゃく」のような、アプリや道具が世に生まれてきていますが、言葉はただ翻訳するだけでなく、相手の文化も合わせて理解して使う必要があります。そういった点において、AIに代替されることのない通訳も素敵なお仕事として残りそうですね。
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